こんにちは、darakeです。
今回は部活動に関する記事です。全中を切る内容となっています。
全中不要論を掲げたいと思います。
というのも、2023年度から始まる部活動地域移行(土日)の弊害になり得るからです。
部活動の地域移行は、中学校教師にとって、なくてはならない改革だと思っています。その改革の邪魔になるぐらいならば、とっと幕を引いてもらった方がいいのです。
具体的な内容は次の2点です。
- なぜ全中は不要なのか
- 全中は部活動地域移行の弊害
なぜ全中は不要なのか
まず、全中とはどういう大会なのか整理しましょう。
日本中学校体育連盟が主催している大会が全国中学校体育大会(以下、全中)です。略称は、「全中」「中連」「中体連」のように地域によって様々です。
日本中学校体育連盟は昭和30年に発足しており、平成23年に公益財団法人として認可されています。
全中として正式に始まったのは、昭和54年からだそうです。以下はHPより抜粋です。
中学校体育大会は、各学校の運動部活動の一環の対外試合であり、校長の責任で学校の生徒・チームとして参加させます。公的な予算が基本となり開催・運営します。
全中が始まるまでは、各種目ごとにバラバラに大会を開催していたのです。
現在は、夏季大会と冬季大会の二つに統一し、同時期に地区予選から行い、最終的に全都道府県の代表で競う中学生の最高峰の大会・最後の大会として整理されているわけです。
詳しく知らないで、地区大会に出場し、負けて泣いて、引退してたわ。
ある時期までは、この全中が果たした役割は重要でした。どの中学生も全中で勝ち上がることを目指して、運動部で汗を流していたわけです。
ただ、ある時期を境にして、全中の立ち位置が微妙になってきました。
そのある時期というのは、各種目でクラブチームが立ち上がり始めた頃です。
クラブチームは、学校の枠から外れて、有志によって運営されています。会員による個人会費や後援会組織、支援企業などからの広告料収入、地元自治体等からの支援により運営されます。
なので、クラブチームは全中に参加資格がありません。なぜなら、全中には、校長の責任で学校の生徒・チームとして参加させるという取り決めがあるからです。
例えば、中学校の部活動でサッカーをやっている選手は全中出場資格があるが、コンサドーレというクラブチームでサッカーをやっている選手は全中には出場できないのです。
サッカー界には、クラブチームだけでNO,1を競う大会(全国クラブユース選手権)というものが存在しています。
全中優勝校と全国クラブユース選手権優勝校の差は、ハッキリ言って後者が差をつけ始めています。
もはや、全中は中学校の最高峰の大会ではなくなっているんですね。
もう、全中いらんでしょ!役割終えましたよ。
サッカーはクラブチームが多いけど、そうじゃない種目だってあんのよ!!
確かに、クラブチームが少ない種目もまだあるでしょう。
ただ、考えてみてください。全中以外の大会って他にもたくさんありませんか?○○杯とか○○カップとか。
種目ごとに様々な大会が整備されてますよね?その多くが全国大会まで繋がってますよね?
そして、部活動チームもクラブチームも参加できますよね?学校縛りがないのですよ!
さらに、全中終わった後にも3年生が出場できる大会もあったりして、「最後の大会」という意味合いすら消えています。
大会運営の観点から考えても、全中は時代遅れです。
まず運営資金が圧倒的に少ないです。公益財団法人が主催ですからね。各参加学校から参加費も取っていません。
ということは、審判員等への報酬は、雀の涙ほどの交通費しか出ません。運営スタッフは、当番校の教師が行います。なぜ教師を使うかわかりますよね?
勤務日に開催すれば、余計な出費なく1日コキ使えるし、土日ならば「振休」という何とも取りづらい制度によって、うやむやにされています(darakeは絶対に振休取りますが)。
しかも、勤務日に教師がいない学校の授業は大変ですよね。臨休の時もあれば、午前授業になる場合もあります。全中のためにですよ?!
全中以外の大会はどうでしょうか?
参加する学校やクラブチームから参加費を徴収するので、審判員等への報酬は最低限保障されています(多くはないけどね)。
そして、運営は各種目の協会主導で、顧問による最低限の運営で進められます。授業日に行われる大会もほぼありません(授業日に実施する大会はダメダメです)。
もし、このようになっていないのならば、その種目は時代遅れです。
審判だろうが運営スタッフだろうが、労働に対して謝礼や交通費が出ないなんて終わってますから。自分の地区の大会をふり返ってみてくださいね。
以上のことから、全中の存在意義はないんですよ。ただ昔からやっているからという理由が強く、誰も存在意義を疑おうとしていないのです。本当はもう役割を終えて不要なのです。
全中以外の大会があることで、中学生にスポーツ実践機会を十分に与えることになっているし、心身ともに健康な中学校生徒を育成することに繋がっています。
全中は部活動地域移行の弊害
結論から言うと、全中は部活動地域移行の弊害になり得ます!
部活動の地域移行については、コチラ↓
2023年度から、土日の部活動の指導は地域主体にすると文科省が決めています。本当にあと2年で実施できるか楽しみですけど・・・。
つまり、教師は土日の指導に関われなくなります。指導に関わりたい場合は、兼業届けを出さないといけないのです。
そして、地域移行ということになると、学校主体のチームばかりではなくなるでしょう。というか、従来通りの部活動チームの存続は絶対に無理です。
少し脱線しますが、地方の学校は少子化で生徒数が減っています。これからも減り続けます。すなわち、学校単体でチームが成立しない状況なのです。10年前ぐらいから合同チームが増え始めているのはそのためです。
話を戻すと、部活動を地域移行するというのは、地域クラブ化が最終目標なのです。
近隣のA中学校とB中学校とC中学校の選手が一つに集まり、一つの地域クラブチームとして活動していかなければいけないのです。そうでもしないと、指導者が足りません。
もしですよ、現在の顧問全員が、2023年度から土日の部活動指導を断ったらどうなるでしょう?地域にそんなに人材いますかね?
ということで、今のままの学校単位でのチーム存続はできなくなり、二つの選択肢が浮上します。
②新たにクラブチームが立ち上がる(企業やプロチームの支援を受けて)
この選択肢は、あながち夢物語ではないはずです。
では、ここまで読んでくれたあなたならば、もうおわかりでしょう?なぜ全中が弊害になってくるのか。
全中の参加資格は、校長の責任で学校の生徒・チームとして参加・・・。
はい、終了です。
『全中に出れなくなるから』という理由で、合同チームや地域クラブ化を拒む生徒や保護者が必ず出ます。
それほどまでに、上の世代にとって根強い大会なのです。中学生の大会といえば全中だと思っている親世代は多いのです。一種の共同幻想ですね。
ただ、実際は前項で述べた通り、全中は不要なのです。いくらでも代替可能であり、既に数多くの大会が種目ごとに設定されています。
全中があることで、部活動地域移行の弊害になるという意味を理解してもらえたでしょうか?
おわりに
過去の勤務校での話です。
近隣二校を地域クラブ化して、全中に参加しない旨を保護者に伝えた時、多くの保護者から反対意見を受けました。全中に代わる大会には出場するにも関わらずです。
生徒以上に保護者が激怒していました。それはなぜか?
知らない世界への恐怖でしょう。
自分が出場した大会こそ全て、伝統ある大会が正しいという思い込みでしょう。
激怒していた保護者たちも、年度の終わりには地域クラブ化に満足していました。なぜなら、地域クラブを実感して良さを知ったからです。
この事例は、これから多くの中学校で表面化すると思われます。ならば、全中自体を廃止すると丸く収まります。
そもそも、時代に不要になった大会なのですから、廃止しても特に困りません。
種目ごとに、全中に代わる別の大会を3年生最後の大会と位置付ければいいだけですから。
時代の変化と共に、全国中学校体育大会も潔く幕を引いてもらいましょう。
今回はここまで!
みなさんが豊かな人生を送れますように!
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