こんにちは、darakeです。
今回は、理想論ではなくリアルな学校現場の授業についての記事です。授業をする教師は、どの層をターゲットにしているかを明確にしておかなければいけません。
30人以上のクラスを教えていて、クラス内の学力差が大きいと悩んでいる教師の方々は必見です。1対30において、30人全員のニーズに応えることはかなり難しいのです。
具体的な内容は次の2点です。
- 中学生を因数分解してみよう
- 限られた時間と人員で何が出来るか明確にしよう
中学生を因数分解してみよう
まず、自分が教えているクラスの中学生たちは、どういう層になっているのかを把握しておく必要があります。
それは、全員が一律同じ考え方なわけがないし、同じ目的をもって生活をしているということはあり得ないからです。教師はしっかりと現実を見つめることが大切です(もちろん理想も必要よ)。
ということで、世の中の中学生を因数分解してみましょう。都市部や特別な進学校でない限り、大体当てはまると思います。
(2)何らかの目的を達成した結果の高学力層
(3)どちらつかずの中学力層
(4)途中でつまづいてしまった結果の低学力層
(5)そもそも勉強に前向きになれない結果の低学力層
では、それぞれの層について説明していきますよ。
(1)学びを求めた結果の高学力層
クラスに1~2人いるかいないかでしょう。とにかく学ぶことが好きで、学びを苦にしていない層です(学校の勉強という枠には捉われません)。
この子たちは、自立して学ぶことができます。自ら求めて学んでいるので、知識の吸収も早く、学びに費やす時間も膨大です。
結果、意欲と時間と努力が重なるので、高学力になるわけです。教育界の理想としては、この層を増やしていきたいですよね。
(2)何らかの目的を達成した結果の高学力層
クラスに5~6人は存在するでしょう。(1)の層とは異なり、何らかの目的達成のために勉強して、点数と成績を上げた層です。
何らかの目的とは人それぞれです。例えば、
お小遣いを増やすため、親の期待に応えるため(過度な期待は恐怖ともなる)、良い成績をとり良い高校・大学…と信じているため、異性にモテるため等々です。
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目的は何であれ、それを達成するため勉強に費やしたエネルギーがありますので、結果高学力になるわけです。※達成結果によっては、持続しないことがあるのが難点。
(3)どちらつかずの中学力層
クラスの3分の1を占める層です。タイトルの通り、どちらつかずの層です。可もなく不可もないのが特徴です。
通知表でオール3といった生徒をイメージしてください。
この層が上に流れるか下に流れるかは、勉強する環境次第です。その点では教師の責任は重いでしょう。
(4)途中でつまづいてしまった結果の低学力層
クラスに10人近く存在する層です。ある段階までは(2)や(3)の層にいて、どこかのタイミングでつまづいた層です。
わからなくなった時に放置してしまい、そこからズルズルと下がってしまことはよくあります。放置してしまった原因は、努力不足と指導者不足によるものでしょう。
この層へのアプローチは重要で、教師のアプローチ次第では(2)(3)もしくは(5)になります。
(5)そもそも勉強に前向きになれない結果の低学力層
クラスに5名前後いるでしょう。いつの時代も一定数存在する層です。
何に対してもパワーがない「無気力型」と、勉強以外に夢中なことがある「他に夢中型」がいます。※(4)からくる生徒も。
この層に対しては、無視ではない放置がベストです(無視すると逆に怒る天邪鬼もいる)。放置というと聞こえが悪いですが、『勉強しろ!』と圧力かけたところで響きません。
自らの意思で思い立つしか、勉強に意識を向かわせる方法は存在しません。根気よく食いつく餌を投げ続けるしかありません。
以上のように、自分が担当するクラスの中学生を因数分解してみて、どの層が多いのかを把握しておかなければいけないのです。
限られた時間と人員で何が出来るか明確にしよう
(2)何らかの目的を達成した結果の高学力層
(3)どちらつかずの中学力層
(4)途中でつまづいてしまった結果の低学力層
(5)そもそも勉強に前向きになれない結果の低学力層
担当するクラスの層が判明したのならば、あとはどの層をターゲットにして授業を構成するかを決めます。
全ての層のニーズに応えた授業を構成するのは、1人では限界があります。それがなぜなのかを説明します。
『全員をわかる(できる)ようにしよう!』は理想目標で、現実はとても厳しいのです。
それでもひと昔前は、どちらつかずの中学力層(3)がクラスの大半を占めていたので、そこをターゲットに授業を構成しておけば何とかなりました。
何とかなったというのは、誤魔化すことができていたということ。
けれども、日本の学力低下が叫ばれて20年以上、クラスでは(3)の層が減り、(4)(5)の層が増えました。※特に(4)の層、(5)の層はいつの時代も一定数存在するもの。
つまり、(3)の層に向けての授業はオワコンになっているのです。
上位層と下位層の差が顕著であり、これを1人の教師だけで担当するのはかなりの難題となっています。全教科に複数教師を配置するのは現状無理っす。
だからこそ、人員増員が叫ばれていますが、なかなか予算を増やしてもらえていません。
皮肉なことに、早くから人員を増やしてさえいれば、1クラス20人以下が実現できていたならば、コロナ感染下でも何とか対応できたかもしれませんよね。
ということで、教師の数はなかなか増えないし時間も限られています(1授業50分が限界)。そんな中で出来ることといったら、工夫しかありません!!
工夫について、2つ提案します。
授業の中でターゲット層を絞る
クラス内の生徒は5層に分かれていて、それぞれのニーズは異なります。ならば、教える側も授業内でターゲットを絞ってしまう方法です。
1時間の授業内で、時間を区切ってターゲットを変えてしまうやり方をします。
ある時間では高学力層をターゲットにしたり、ある時間では低学力層をターゲットにします。そうすると、内容についてこれない層や退屈になる層が出てきます。
さて、どうするか?
高学力層(1)(2)が理解した内容を、(3)~(5)層に教える時間を授業内で設定します。教師役を増やす手法です。教える側にもアウトプットできるメリットがあります。
また、低学力層をターゲットにしたことで退屈になる層(1)(2)が出てくる場合は、動画や問題集を活用して、自立発展学習の時間を設定します。(1)(2)層であれば自ら進めることは可能です。
つまり、(1)(2)層を有効活用してしまおうというやり方です。他者に教えることは理解を深めることになるし、自ら学習を選択できるというのは高学力層にとっては魅力でしょう。
ポイントは、ターゲット層を絞って教えて、高学力層を活用することです。時には高学力層を教師役に任命し、時には環境を整えて自習させるのです。
予習課題とオンライン
とはいえ、ターゲット層を絞ったことによりマイナス面が生じます。それは、ターゲットから外れた層への対応が手薄になることです。教師は1人しかいないからね!
人員が限られていて時間もないのであれば、生み出すしかないでしょう。
まず、改めて予習の大切さを提案します。家庭での学習時間確保です。
授業で取り扱う内容に対して、予め生徒たちに考えさせてくることをおススメします。自分で調べたり、友達と相談してくるのもアリです。
授業の前段階として、各生徒が「内容に触れている」ということが重要です。もちろん、全生徒がやってくるなんて思っていません。けれども、予習課題を出し続けます。
ある程度内容を知った上で授業を受けることは、そうしないこととの差は明らかです。これによって、家庭で考えたり調べる習慣がつきます。
今後いつまた長期休校になるかわかりません。家で自ら学習できる土台を築いておくことが求められます。
そして、オフラインとオンラインの融合です。
コロナウイルスによる休校期間中、あれだけ騒いでいたオンライン化のニュースはどこへいったのでしょうか?
登校再開したことで満足してしまったのでしょうか?それだと甘すぎですよね。
オンライン化への整備ができていない自治体や学校は、早急に整えるべきです。そして、登校できている状態の時にも活用すべきです。
いつでもオンラインで繋げる状態にしておき、わからない問題の解き方を聞いたり、授業で聞き漏らしたりメモし忘れた内容を確認できるようにしておくことが必要です。
ZOOMなどの双方向アプリの活用と、学校のHPを整備して生徒からの質問の受け皿を作るべきです。
勤務時間の関係もあるので、いつ実施するかは各校・各教師の工夫次第です。何もやらないよりは、行動した方が絶対イイっす!
おわりに
今回は、キレイ事ではなくリアルな学校現場の授業についてまとめました。
現実問題、1人で30人の生徒のニーズに応える授業は厳しいっす!中学生を因数分解してみて、判明しましたよね?
まずは、クラスにはどんな層の生徒たちが存在するのかを把握しましょう。そして、どの層をターゲットに授業しているのか明確にしましょう。
誰に向けて授業しているのかわからないボヤけた授業より、ピンポイントでニーズに応えていく授業の方がいいと思います。
ただ、どうしても1人では全ての層に手が回らないので、時間を生み出す工夫(家庭にいる時間や放課後利用など)、オンラインという技術を駆使して解決を図りましょう。
すぐに完璧じゃなくてもいいし、解決できなくてもいいんです!解決しようと何とか努力することが大切ですね。
今回はここまで!
みなさんが、幸せな人生を送れますように!
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