学校祭で模擬店を出店するからにはマーケティングの基礎を学ぼう!

行事指導のコツ

 こんにちは、darakeです。

 今回の記事は、中学校で模擬店経営学習をさせるメリットとデメリットについてまとめています。

 総合的な学習の時間(以下、総合的な学習)に位置づけ、学校祭で出店します。教師の意図次第で、生徒にとって価値のある学びにつながる気がしています。

 具体的な内容は次の3点です。

  1. 総合的な学習の時間としての位置付け
  2. 模擬店経営学習の目的と目標
  3. 模擬店経営学習のメリット
  4. 模擬店経営学習のデメリットと課題

総合的な学習の時間としての位置付け

 今まで勤務してきた中で、学校祭の中で模擬店経営を体験させる学校が多くありました(地域性による)。

 総合的な学習に位置づけて、準備、当日の運営、まとめの時間を生み出しています。

 そもそも総合的な学習のねらいは、

 ・自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
・学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
・各教科等で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,総合的に働くようにすること。 文部科学省HPより

 つまり、生徒が自ら目的(課題)を設定して、すべての教科で学んだことを活用しながら、意欲をもって目的達成・課題解決を目指すための学びの時間です。

 この学習で身につけさせたい能力を、darakeが解釈すると、

①よのなかの膨大な出来事から『?』を見つける・探す能力
②よのなかの出来事を様々な側面や立場からみることができる能力
③多くの情報を取捨選択して活用する能力
④すべての教科で学んだ知識や技能を引き出し、活用する能力
⑤自分と他者が納得する『納得解』を導き出す能力
⑥困難かつ正解がない課題に対しても粘り強く探究しようとする能力
⑦『興味がある』『やりたい』を具体化して貫き通す能力

 つまり、総合的な学習の内容の1つとして模擬店経営を体験することを通して、①~⑦の能力のどれかを育成できれば整合性は保たれるわけです。

模擬店経営学習の目的と目標

 模擬店経営学習の目的とは、前述した7つの能力の育成に加え、マーケティングの基礎にふれることです。

 そして目標は2つあります。

①利益を上げる
②客の満足度を上げる

 ①について、中学校の模擬店経営で利益を追求させることには賛否両論ありますが、店を経営する上で利益を求めることは当然です。

 どうすれば利益を生み出せるのかを考えることに価値があるので、

 利益を無視するのであれば、中学校における模擬店経営の学習の意味はあまりないと考えます。時間と手間はかかるので、実施しない方がいいです。

 ②について、客の満足度を考えて模擬店経営をさせることが大切です。

 来校者の『入ってみたい』を引き出し、『欲しい』という購買欲を刺激し、『楽しい』『うれしい』という気分で帰ってもらうことが求められます。

 ここに生徒たちの想像力や探究心が働くわけです。

 どんな人が学校に足を運んでくれるのか、子どもやお年寄りは来てくれるのか、どんな商品をどんな価格で提供すれば満足してもらえるのか等、これらを考えさせて実践させたいわけです。

 ②を達成しつつ①も達成するにはどうすればいいのかを、様々な側面や立場から探究してもらいたいわけで、ぼったくりのような価格設定で利益を追求しろと言っているわけではありません!

 目標をクリアすることを通して、最終的に目的を達成することができれば最高です。

模擬店経営学習のメリット

 模擬店経営学習のメリットは、マーケティングの基礎中の基礎を学ぶことが可能なことです。

 小さい時に行う〇〇屋さんごっこの延長ですね。実際に商品を売り、お金を出して買ってもらう体験をさせることに価値があります。

 中学校段階でマーケティングの基礎を学ぶことは、今後必要になってくると思います。公教育の現場では、お金に関する学びはまだ発展途上です。

 マーケティングの基礎とは、次の6点を考えることです。

①何をどれだけ販売するのか?
②ターゲットとなる客層は?
③原価に対して、価格設定はいくらが望ましいのか?
④どうやって他店(他クラス)より客数を増やすか?
⑤1人あたりの客単価はいくらか?
⑥どうすれば満足してもらえるのか?

 これら6点を考察することは、将来のために身につけておいて損はありません。

 実家が店経営をやっている生徒であれば自然とマーケティングについて触れる機会もあるでしょうが,公務員の家庭等ではその機会はゼロに等しいかもしれません。

 さらに考察するだけではなく、実際に商品を準備して販売する体験が可能です。

 繁盛する店もあれば、全く客がこない店も出てきます。途中で商品が売り切れて、客が来てもお断りせざるを得ない店も出ます。

 客が入り過ぎて対応が間に合わない店があったり、仕入れ値と価格設定を間違えて赤字になる店が出たりもします。

 このような成功体験や失敗体験をして、自分たちの計画と結果を分析することは深い学びとなるでしょう。

模擬店経営学習のデメリットと課題

 ここからは、デメリットと課題についてまとめます。

 デメリットについては、まず準備に時間がかかります。

 総合的な学習の時数を多く費やす必要があるので、各校の教育課程にしっかりと位置付けなければいけません。

 そしてクラス単位で出店するとなると、担任の負担が増えます。副担が担当することも可能ですが、担任の関わりがゼロになることはありません。

 次に、お金が実際に動く活動なので適切な管理が求められます。お金のトラブルは非常にやっかいです。この部分については、教師が関わる必要があるでしょう。

 そして、食品を調理する場合は保健所の許可が必要になります。

 それをクリアするためには細かい計画書の提出や、当日のきちんとした衛生管理が求められます。つまり、あまりおススメしません!

 どうしても食品を提供したいのであれば、冷凍食品を温めたりするぐらいの簡易調理食品がベターです。これは保健所の許可が5分でおります(笑)

 この学習の課題としては、目的と目標を職員全員が共通理解することが求められます。その上で生徒にきちんと落とし込む必要があります。

 前述したマーケティングの基礎を考察させなければ、身内ノリで終わってしまいます。何も考えずに用意された資金で好き勝手なものを購入して、商品が余って赤字を出しても無関心で終わります。

 客のことも考えずに接客も雑に行い、自分たちだけが盛り上がって終わるような活動になるのであれば、実施しない方がいいでしょう!

 生徒たちはみんなでワイワイやりながら盛り上がることはできますが、それだけで終わるような活動にしてしまうと、デメリットの方が強くなり負担が増えてしまいます。

展示だけの学校祭よりはアリかも!

 今回は、中学校で模擬店経営学習をさせるメリットとデメリットについてまとめました。明確な意図をもって実施できれば、貴重な学びになることは間違いありません。

・総合的な学習の時間に位置付けて実施すればOK!
・学校祭でクラスごとに出店する
・目的は7つの能力の育成と、マーケティングの基礎6点を考察する
・目標は利益と客の満足度を上げる
・マーケティングの基礎に触れることは将来に役立つ
・実際に体験することは何よりも学びにつながる
・デメリットは担任の負担が少し増える
・課題は教職員が目的と目標を共通理解すること

 何となく学校祭で模擬店を実施していた学校は、事前にマーケティングの基礎6点を考察させることで一気に価値が高まります!

 自分の職場の学校祭がつまらないと感じている人は、ぜひ全教職員を説得して取り入れてみてください。

 生徒はノリノリで取り組むし、将来に役立つ深い学びとなるでしょう。ただ、デメリットや課題を乗り越える思いと行動力があればの話ですが・・・。

 今回はここまで!

 みなさんが、幸せな人生を送れますように!

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