道徳科の指導に悩む若手のためのポイント解説!道徳科だけじゃダメよ。

後輩に向けて

 こんにちは、darakeです。

 今回の記事は、道徳教育についてまとめています。ただ、実際の運用に必要なことだけまとめています。目的やら全体計画には触れません。

 具体的な内容は次の2点です。

  1. 道徳教育について
  2. 道徳科について

道徳教育

 学校での道徳教育は、全教育活動を通して行うものです。

 特別の教科として位置づけられたことで35時間の授業にばかり意識がいきがちですが、あくまでも要です!

 授業を中心にして、全教育活動で22の内容項目を指導していく必要があります。

 ただ、22項目全てを完璧に網羅するのは大変なので、学校ごとに重点目標を設定しています(全部やらなくていいわけではないですよ)。

 例えば、
①学校の課題:決まりを守る意識が弱い、なぜ決まりが必要なのかを理解できていない
②重点目標の設定:決まりについての理解と決まりをきちんと守らせることが必要
③指導者の意識化:内容項目C-10遵法精神・公徳心を各教育活動で意識しなければ!
 

保体では、球技のゲームをする時にはルールの重要性について考えさせて、そのルールを守って参加できるように指導しよう!

 

特活では、学級の決まりについて改めて考えさせて、生徒自身で必要な決まりを立案できるように指導しよう!

 

テニス部では、公共施設の体育館を利用する時に、一般の方と共にルールを守って使用できるように指導しよう!

 これらのように、道徳科以外のどの活動で指導できるかを、教職員の中で話し合っておく必要があります。

 とはいえ、

 実は、各学校には道徳教育を一覧表にした「別葉」というものが存在しています。※別葉とは一般的に「別紙」と同義

 知っていましたか?

 知らなかったでしょう。

 最近までdarakeは知りませんでした・・・。

 自分の学校の道徳推進教師に聞いてみてましょう。そんな存在がいること知ってました?

 ただ、別葉が存在していても、見ていなければ意味がありません。

 どうすれば意識できるのでしょうか?

 次のような対策が考えられます。出来る範囲で活用してください。

①年度の重点目標は全教職員で話し合って設定する(巻き込む)。
②学年内で、特活、総合的な学習の中のどの部分で指導できるか検討する。
③教科グループで、どの単元で指導できるか検討する。
※②、③は、使用するプリントや教科書にわかるように明示しておくことが大切!普段から使用するものに明示しておかなければ、形だけの意味のないものになります!

道徳科

 教科化にともない、年間35時間の授業時数を確保しなければいけません。

 ここでは、35時間の内訳、授業の作り方、教科書の使用の3つに区切ってまとめていきます。

35時間の内訳

 まず大前提として、1年間で22の内容項目を全て実施します。

 1項目1時間と考えると、22時間かかります。残りの13時間の使い方は、生徒の発達段階や実態に応じて計画を立てることができます。

 年度当初に計画を立ててスタートしますが、生活していく中でさらに深めた方がいい項目が浮かび上がってきます。

 そんな時は実態に応じて、13時間を活用することが大切です。ただ、3年間を見通した指導は必要になります。

 13時間×3年間=39時間という考え方で、計画・運用・改善していくことがベターでしょう。

 つまり、年度末には13時間の内訳を振り返る必要があります。どの項目を重視して指導したのかを整理して、次に引き継ぐことが求められます。

 3年間同じメンバーで学年を構成して指導するのは稀なことなので、確実な引継ぎが重要ですね。

授業の作り方

 道徳科では、あくまでも心の中を育てることが目的です。この目的を達成することから具体的な実践へとつなげて、習慣化を図ります。

 その心の中を育てるための目標は、次の3つしかありません。つまり、授業の目標です。

①道徳的判断力を養う
これは善悪を判断する能力です。道徳的諸価値を理解し、様々な状況下においてどのように対処すべきかを判断する力です。
②道徳的心情を育てる
道徳的諸価値の大切さを感じ取り、善を率先して選び、悪を選択しない感情です。善を指向する感情であるとも言えます。道徳的行為への動機として強く作用するものです。
③道徳的実践意欲or態度を育てる
道徳的実践意欲は、道徳的判断力や道徳的心情を基盤とし、道徳的諸価値を実現しようとする意志の働きです。道徳的態度は、それらに裏付けられた具体的な道徳的行為への身構えです。つまり、具体的な行動をするための準備という認識です。

 

 さて、授業の作り方です。

≪導入≫
 ねらいとする内容項目が、自分に関係あると意識できるような導入発問をします。この発問は、生徒が自分事と認識できるような身近で考えやすいものが望ましいです。
≪展開1 道徳的諸価値の理解≫
 道徳的諸価値には次の3つがあります。これらの理解を展開の中で深めさせます。
①価値理解…この内容項目は大切で、よいものだ。
②人間理解…大切だとわかっていても、できないこともあるな。
③他者理解…考え方は人によって様々だな。
 その際、教科書や自作資料を活用して、じっくりと自分と対話したり他者と話し合うことで理解を深めさせます。
≪展開2 自己理解≫
 『自分だったら…』と考えさせることが大前提となります。資料の主人公の考えとして出した「考え」は、生徒自身の「考え」となります。
 読み物資料を使う利点はここにあって、主人公の「考え」としてアウトプットすることで、無意識に生徒自身の「考え」を引き出すことができるわけです。
≪展開3 多面的・多角的≫
 生徒が考えたことを、多面的(様々な立場)・多角的(他の道徳的諸価値)に分析して整理する時間です。
 人は時として、自分の考えにこだわって視野が狭くなることが往々にしてあります。
だからこそ、物事を多面的・多角的に考えられるような発問が重要となります。
 例として、「テストで不正をした友達を見た時にどう対応するべきか」という発問をした場合、次のような考えが予想されます。
・友達だから内緒にする(友情)
・友達だからこそ注意する(友情)
・不正をして点数を取るのは公平ではない(公正、公平)
・決まりを破ることはよくないことである(遵法精神、公徳心)
≪展開4 人間としての生き方を考える≫
 展開の最後には、自分事として改めて考えさせる場面が必要です。資料の主人公から離れて、自分の生活を振り返る場面を必ず設定しましょう。
 そうすることで、次のような考えをもってもらうことを目指します。
・今までの自分は、○○のようなことを考えずに過ごしていたかもしれないな。
・○○の大切さはわかったけど、実際にできるかどうかは自信がないな。
・○○について学んだことで、自分のよさや課題について考えさせられた。今後実践してみたいな。
≪終末 指導者の説話≫
 授業の最後の締めとなる部分なので、授業の流れを踏まえた魅力的な話をするといいでしょう。
 終末では、学習を通して感じたことや考えたことを整理して自分に落とし込むこと、『実践したい』『行動してみよう』という意欲を引き出す役割があります。
 そこで効果的なのは教師の体験談です。成功談よりも失敗談がおススメです。
 間違ってはいけないのは、説教や押し付けにならないことです。
 道徳科は、心の中を育てる教科です。

 説話以外には、音楽や動画を視聴したり、本や詩を朗読するなど、方法は様々です。ただ、darakeは失敗談を語れる教師を目指してほしいのでおススメしています。

教科書の使用について

 教科化にあたり、副読本ではなく教科書を使用する教科となりました。

 Q&A方式でまとめていきます。

 

Q:毎回教科書を使うのですか?

 

A:最低限、22の内容項目1hずつは教科書を使用してください。

 

Q:教科書以外の教材使用は可能ですか?

 

A:可能です。13hは実態に応じた教材を使用することができます。ただし、単年度の使用にならないように配慮してください。数年間使えるような教材を選びましょう。

 

Q:モラルジレンマ教材を使うことは可能ですか?

 

A:13hの範囲内であれば可能です。

道徳科を中心に道徳教育を!

 今回は、道徳教育についてまとめました。35時間の授業だけではなく、全ての教育活動で行う必要があることを理解しましょう。当然、家庭での教育も重要です。

・22の内容項目は最低限1時間ずつ全て指導すること
・残りの13時間は生徒の実態に応じて運用可能
・学校ごとに重点項目が必ず設定されている
・13時間×3年=39時間という考え方で計画・運用・改善を
・学校の道徳教育一覧を「別葉」と呼ぶ
・「別葉」を作って満足ではなく意識して指導するための工夫が重要
・道徳科は心の中を育てる教科
・教科書は、22項目・22時間は最低限使用する
・教科書以外の教材は、13時間の中で使用し、継続性が重要

 『大人はこういう答えを望んでいるんでしょ!』と生徒が感じる道徳の授業は、非常につまらないです。

 正直言って、教科書の読み物資料の中にはやりづらいものもたくさんあります。

 だからこそ、道徳教育のポイントを押さえ、生徒の実態に応じた意味のある道徳教育を行いたいですね。

 今回はここまで!

 みなさんが、幸せな人生を送れますように!

コメント

タイトルとURLをコピーしました