こんにちは、darakeです。
今回の記事は、部活動顧問が指導のスペシャリストばかりではないことを知ってもらうための記事です。多くの保護者に広めてほしい内容となっています。
具体的な内容は次の3点です。
- 部活動顧問の決め方
- 部活動顧問の約5割が専門的な技術指導ができない
- 専門外顧問の苦悩
部活動顧問はどう決まる?
中学校の部活動顧問はどのように決まるのでしょうか?
初めてその学校に着任する場合、管理職から『○○部の顧問を担当してもらいたい』とお願いされますが、そこに話し合いはほぼ存在しません。
部活動の指導をすることを前提として話が進められるので、顧問拒否をすることはかなりハードルが高い現状です。若手は特にです。
この辺の理不尽なシステムは、コチラ↓に詳しく書いています。
そして同学校で一度顧問になったら、何かトラブルが起きたり、新たなスペシャリスト顧問がこない限り種目の変更はありません。基本、本人が何も言わない限りは自動更新制度です。
トラブルとは、生徒や保護者とのもめ事が大半で、それによる心身の疲弊です。
では、種目はどのように決まるのでしょうか?
基本的には、過去に関わったことがある種目が優先されます。過去にサッカーを経験したことがある人は、サッカー部顧問になることが多いです。
経験っていうのがポイントで、1年経験でも10年経験でも、経験したことがあるという扱いになります。さらに、指導経験がなくてもプレイヤー経験があれば、当然のように任されます。
サッカー経験があっても、着任した学校にサッカー部がない場合はどうなるのでしょうか?
過去に経験したことがある種目をリサーチされ、少しでも関わったことがある種目があった場合は、その顧問にされてしまいます。
リサーチした結果、サッカー以外に経験した種目がない場合はどうなるのでしょうか?
顧問が足りない種目に問答無用で当てはめられます。経験したこともなく、興味もないのにです。そこにスポーツが得意とか、楽器が得意とか関係ありません。
ここまでの流れの中で、本人と異動先の学校の管理職との間での話し合いはほぼ皆無です。あったとしても着任前の電話で、数分話す程度です。
大抵は、異動前の学校の管理職と異動先の学校の管理職で話が伝わり、本人抜きの情報交換で話が進んでしまいます。大卒後の初任者であれば、なおさら希望なんて通りません。
こんな恐ろしい話が、戦後から当たり前のようにまかり通っています!
専門的な技術指導ができない顧問がいる!?
中学校の部活顧問の約5割の人が、その種目の専門的な技術指導ができないそうです。
これを意外と感じる人は、中学校の部活動システムのことを知らない人です。さらにこの後を読み進めてほしいです。
まず、ほとんどの大学で部活指導の方法を学んでいません(一部芸能学科などは別)。芸能教科の教師だけが部活指導を任されるわけではないので、この部分でシステムエラーが生じています。
大学で国語の教師を目指して国語については一生懸命に学び、採用試験に合格後は突然サッカー部の顧問にされ、いきなり指導しなければいけなくなります(サッカー経験者ならまだしも、未経験なら・・・)。
経験者といっても、趣味やサークルの中でプレイヤーとして活動してきた人が大半で、指導技術を大学で学んできた人なんて一握りの人しか存在しません。
また、教師採用試験にも部活動の専門的技術に関する試験は存在しません。
野球の技術指導やテニスの技術指導ができなくても教師にはなれるけれど、合格した瞬間にテニス部の顧問を任されて、技術指導をせざるを得ない状況になるわけです。
このシステムは本当にあり得なくて、教科指導以上に部活指導については誰も教えてくれません。学校内でも、初任者向けの研修でも全く教えてくれません。
任せるだけ任せておいて、あとは個人任せです。
過去にプレイヤーとして経験している種目ならば何とか綱渡り状態でスタートできますが、そうではない種目を指導しなければならなくなった場合はお先真っ暗です。
その種目を知らない、興味もない、指導技術もない、研修期間もない、この状態で指導できますか?
『任せたからには、個人で勝手に勉強して、上手く運営しなさい』って無理ありすぎです!
こんな裏事情は生徒も保護者も知らないので、『顧問なんだから技術指導をしてください』『勝てるように指導してください』と要望してくるわけです。
完全にシステムエラーしているのがわかりますよね?
保護者の方にはこの裏事情は知ってほしいし、広めてほしいと思います。
専門外を任された顧問の苦悩とは?
このシステムエラーの被害者は、縁もゆかりもない種目を任されている教師たちです。
専門ではない種目の顧問を任された人の気持ちは、身をもって体験したので痛いほどわかります。過去に卓球部の顧問をしたことがあります。プレイヤーでもなかったし、興味もありませんでした。
ここからはどんな苦悩があるのか、3つ紹介します。
技術指導ができない歯痒さ
自分がやったことのない種目なので、生徒に指導することがツライのです。というか、指導できないんです。真剣にやったこともないから。
勝敗がつく種目であればあるほど、専門的な技術指導ができないことに歯痒さを感じてしまいます。
生徒が伸び悩んでいる時に、根性論や精神論しか言えないのです。具体的な技術のアドバイスをすることがとても難しいのです。ド素人の技術アドバイスを真剣に聞く気になれない生徒がいても仕方のないことです。
特に主顧問の場合は、この歯痒さをハッキリと感じます。技術指導ができないことで反発してくる生徒や保護者もいます。
では、どうしたらいいのか?この場合の生きる道は四通りです。
- 外部指導者と連携してサポート役に徹する。
- 部活動顧問を断る。
- 少なくても生徒と対等な技術を磨く。
- 膨大な時間を費やして、指導技術を学ぶ。
3と4の方法は、時間の余裕と情熱がある人にしかおススメしません。
情熱を傾けることが難しい
興味もなく経験もないことに、情熱を傾けることはとても難しいことです。
教師の仕事量はとても膨大です。具体的にはコチラ↓
これらの業務をこなしつつ、情熱もなく専門ではない種目を学んだり、練習することを強制できますか?若手がストレスで心身をやられるのは決して大袈裟ではない話です。
そして情熱がなくても、『仕事だから!』で済ませられるほどの労働量と時間ではありません。平日も夜遅くに帰宅し、土日はなし。休日をきちんと確保できない状況は異常です。
私たちは、意欲があってやりがいを見出した時であれば、多少のオーバーワークでも苦になりません。しかし、この場合は当てはまりません。
部活指導における拘束時間に対して、その分の価値ややりがいを見出すことに、とても苦悩した記憶があります。
部活指導が生き甲斐の顧問と比較される
生徒や保護者の中には、他部と比較して顧問批判をしてくる人たちが存在します。
では、どんな部の顧問と比較されるかというと、学校の業務の中で1番に部活指導を優先している顧問と比較されます。
その種目が大好きで、その種目の指導がしたくて教師になった人たちです。
平日の放課後は何よりも先に部活指導へ行き、土日は朝から夕方まで部活指導をする。そして長期休みは、遠征やら合宿を組むなど、部活指導を生きがいにしている人たちです。
このような顧問は、部活動というシステムに迷いを感じておらず、趣味の一つとして関わっているため熱量が違います。
どう考えても、専門外で仕方なく顧問をしている教師たちとは差が出てしまいます。
ある程度の教職経験を重ねていれば、比較されようが自分の信念があるため気にならないのですが、若手の場合は相当なプレッシャーになること間違いありません。
ここで知ってほしいことは、部活指導においての熱量の違いは仕方のないことだということです!
(×)情熱がある=熱心な教師
(×)情熱がない=やる気のない教師
システムエラーの現状を知って広めよう!
今回は、部活動顧問が指導のスペシャリストばかりではないことを知ってもらうために、顧問の決め方や顧問育成システムについてまとめました。
・少しでもプレイヤーとしての経験があれば専門と判断される
・該当する部活動のプレイヤー経験がないと、ランダムに当てはめられる
・一度顧問になると、ほぼ自動更新制
・部活動顧問の約5割が専門的な技術指導ができない
・大学や初任者研修では、部活指導の専門技術は学ばない
・専門的な指導技術は、教師になってからのほぼ独学
・部活指導の熱量で教師の良し悪しを判断しないでほしい
・専門外で顧問になっている人の苦悩を知ってほしい
部活動というシステムが、完全にシステムエラーを起こしていることがわかります。
私たち教師の約9割は、スポーツや芸術を指導する専門的な技術を学ぶことなく採用試験に合格しています。
保体の教師でさえ、全スポーツの専門的な指導技術を学んでいるわけではありません。
では、なぜ約5割の部活動顧問は専門的な指導技術があるのでしょうか?
それは、教師になってからの独学です。時間とお金を費やして学んできたのです。仕方なく学ばざるを得なかった人や意欲的に学んだ人など、動機はそれぞれです。
ただ間違っていけないのは、残り5割の顧問に対して『独学しなさい』は横暴です!
望む・望まないに関わらずに顧問を任せておいて、専門的な指導技術の習得は個人任せ。しかも、その時間と費用も個人任せで、本来の学校業務と並行して行わせるシステムとなっています。
そりゃあ、ストレスで疲弊する教師増えるわ!
早くこのシステムエラーを改善しないと、中学校教師になる人減る一方ですよ!
余談ですが、サッカーの世界は指導者ライセンスが必須で、最低でも1人の有資格者がベンチにいなければいけません。さらに、審判ライセンスも必須です。
好きな人はいいけど、専門外の顧問も取らなければいけない状況になります。
これらのライセンス取得は自費で、維持も自費です。
さらに、最近では指導者ライセンスをより上位なものに上級するように指示がきていますが、取得のためには週末を4回ほど潰して講習を受けにいき、交通費や受講費は自費です(数万程度)。そして不合格もあり得る。
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誰がこんなの受けるか!!
今回はここまで!
みなさんが、幸せな人生を送れますように!
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