アドラー心理学から生徒指導について考えてみよう!

生徒指導のコツ

 こんにちは、darakeです。

 今回の記事は、問題行動を起こす中学生との関わり方がわからなかったり、指導することが苦手な教師に向けて書いています。

 問題行動を起こす生徒への指導は本当に難しく、悩ましいものです。悩んでいるのは若手だけとは限りません。darakeも日々悩んでいます。

 今回は、アドラー心理学に基づき、darakeの経験をふまえながら考察してみます。使用する本はコチラ↓

嫌われる勇気

嫌われる勇気

  • 作者:岸見一郎/古賀史健
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013年12月13日
幸せになる勇気

幸せになる勇気

  • 作者:岸見一郎/古賀史健
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2016年02月26日

 具体的な内容は次の4点です。

  1. 知らないなら教える
  2. 尊敬してありのままで価値があることを伝える
  3. 権力争いをしない
  4. 教師が無力な領域

知らないなら教える

 大人たちのやるべきことは一つです。知らないのであれば教える。 
「幸せになる勇気」より引用

 問題行動を起こした生徒に対して、『なんで?』『わざと?』って思ったことないですか?

 『小学生(幼稚園児)でもわかるわ!』という問題行動を起こす中学生いますよね?

 これは、本当に知らない場合があるんです。その場面に立ち会った時はガッカリもするし,衝撃を覚えることもあります。

 『今まで家庭や学校で何を教わってきた?』って言いたくなる気持ちを我慢し、知らないのであれば丁寧に教えることが教師の役割です。

 教師はただひたすら教え続けることが重要で、理解して行動を改めるか問題行動を続けるかは、生徒の問題です。これをアドラー心理学では「課題の分離」と呼びます。

 たしかに、それがよくないことと知りながら問題行動に走る子どもは大勢います。(途中略)
彼らはそれが「よくないこと」だと知っているだけでなく、それをやれば親や教師から叱られるとわかった上で、問題行動に出ている。あまりに非合理な話でしょう。
「幸せになる勇気」より引用

 ただ、よくないことだと知っている上で問題行動を引き起こしている中学生(以下、「知っている中学生」)が大半だということを、私たちは理解しておくべきです。

 そして,これらの中学生たちが、よくないことだと知らないで問題行動に走る中学生たちよりも、もっと深い心理が働いて行動していることを理解しなければなりません。

尊敬してありのままで価値があることを伝える

・問題行動の第1段階、それは「称賛の要求」です。
彼らは「ほめてくれる人がいなければ、適切な行動をしない」のだし、「罰を与える人がいなければ、不適切な行動もとる」というライフスタイル(世界観)を身につけていくのです。
「幸せになる勇気」より引用

 問題行動の第1段階は、褒めてもらいたいという目的のためだけに行動することです。

 あまりにも教師の目に「いい子」「優等生」に映っている生徒には注意が必要だということです。

 この事実を最初に知った時は衝撃でした。

 親の過度な期待に応えるために「いい子」を演じている生徒、常に点数を取らなければいけない「優等生」を演じている生徒。

 今までの経験を振り返ってみると、『なぜ君がカンニングを?』とか、『なぜ高校に入学していきなり不登校に?』という生徒に出会ったことがあります。

 この第1段階の状態を見抜くのは難しいと感じてしまいますが、知っておくだけでこれからの対応は変わってくると思います。

・問題行動の第2段階は「注目喚起」です。
・学級のなかで、特権的な地位を得たい。自らが属する共同体のなかに、確固たる「居場所」がほしい。
積極的な子どもたちは、社会や学校のちょっとしたルールを破ること、いわば「いたずら」によって、注目を得ようとするでしょう。(途中略)
また、消極的な子どもたちは、学力の著しい低下を示したり、忘れ物をくり返したり、泣いたりすることによって注目を得ようとします。「できない子」として振る舞うことで注目を集め、特別な地位を得ようとするわけです。
「幸せになる勇気」より引用

 問題行動の第2段階は、とにかく目立つという目的のためだけに行動することです。

 特別に悪いことをしたいというよりは、「いい子」になるよりは簡単に目立てるからこその行動です。

 ルールを破って教師に噛みついてみたり、授業妨害をしたり、中学校によく存在する「知っている中学生」です。

 この第2段階の状態の生徒たちは、同級生や後輩からは人気がある場合や、教師からもお調子者で通っている場合もあります。

 教師や大人の逆鱗に触れる手前で動きまわる生徒たちなので、学級の中に数多く存在している場合はとてもやっかいでしょう。

 学級崩壊を起こす典型的なパターンですね。この第1段階、第2段階の状態にある生徒の対処を間違った時、教師は大変ツライ目にあうことになるわけです。

 この対処方法として、アドラー心理学では、

「尊敬」によって、特別である必要はない、そのままで十分価値があるのだと伝えていけばいいのですから。
「幸せになる勇気」より引用

 ここでの尊敬とは、生徒を変えようとか操作しようとしないこと。ありのままのその人を認めること。

 この考え方を受け入れることに、違和感を覚える教師もいるかもしれません。

 生意気で教師に噛みついてくる生徒に対して、無条件にその生徒を尊敬することは難しいのです。おそらく多くの教師がその生徒に対してプラスの印象を抱かないでしょう。

 ただ、教師という権力を使い、無理矢理矯正しようとした時に失敗した経験がある人も多いはずです。教師という権力を振りかざしても、「知っている中学生」はその教師の話を聞かないでしょう。

 権力や恐怖では信頼関係を築くことはできないのですね。

 生徒と良好な人間関係を築くことは生徒指導の基本です。

 良好な人間関係を築くためには、生徒をありのままに見て、生徒が関心をもっていることに寄り添う姿勢が大切です。アドラー心理学ではこれを「尊敬」と呼ぶのです。

 生徒とコミュニケーションをとることが上手な教師が、当たり前のように行っていることこそが、生徒を尊敬するということだったのです。

 ただ、生徒を尊敬することによって必ず問題行動に走らないというわけではありません。生徒が変わるかどうかは生徒次第なのです。つまり、課題の分離ですね。

水辺まで連れていくことはできても、水を呑ませることはできません。
「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」より引用

権力争いをしない

・問題行動の第3段階。ここで彼らの目的は「権力争い」に突入します。
・ひと言でいうなら「反抗」です。親や教師を、口汚い言葉で罵って挑発する。(以下略)
・一方、消極的な子どもたちは「不従順」によって、権力争いを挑んできます。どんなに厳しい言葉で叱られようと、勉強や習いごとを拒絶する。大人たちの言葉に無視を決め込む。(以下略)
「幸せになる勇気」より引用

 『なぜ、そんな態度を取るのだろう?』『なぜ、素直に非を認めないのだろう?』『仕事とはいえ、なぜここまで生徒から攻撃されなければならないだろう?』

 こんな思いを抱く教師は少なくないでしょう。darakeも同じです。

 感情に流されていけないことはどの教師も知っています。けれども、ムカつくし腹が立ちます。

 けれども、感情で言い争って、それを制した後に待つのが第4段階「復讐」であるならば、教師にとってマイナスしか残りません。

 泥沼しか待っていないことを知って、そこに入っていくのは愚かな行為です。第3段階で食い止めることが教師の最大の使命です。

 とは言っても、攻撃的な生徒にどう対応すればいいのでしょうか。

・法に触れる問題であれば、法に従った対処が必要です。しかし、それ以外の権力争いを察知したときには、すぐさま彼らのコートから退場する。
「幸せになる勇気」より引用

 教師と生徒の関係は勝ち負けではありません。

 教師自身が正しいと思うこと=生徒が正しいと思うことではありません。

 どんなに世間的にも正しく、当たり前だと思われていることでも、その生徒が納得しなければ平行線のままです。教師だからといって、屈服させることは不可能です。

 この辺り、教師の勘違いと思い上がりがあるかもしれません。

 教師が常に正しく、問題行動を起こす生徒が間違っていると思った時点で、自ら権力争いに足を踏み入れることになるのかもしれません。

 教師という使命感に駆られすぎて、生徒を従順にコントロールできるという思い込みがそもそもの誤解かもしれません。

 ある段階で一線を引き、冷静に権力争いから降りる勇気が必要なのでしょう。

 怒りという道具を使わずに、言葉で時間をかけてコミュニケーションをとることを常に意識したいものです。

教師が無力な領域

・問題行動の第4段階、ここで人は「復讐」の段階に突入します。
・わたしを愛してくれないことは、もうわかった。だったらいっそ、憎んでくれ。憎悪という感情のなかで、わたしに注目してくれ。
「幸せになる勇気」より引用

 

・問題行動の第5段階、それは「無能の証明」です。
・そこで彼らは、自分がいかに無能であるか、ありとあらゆる手を使って「証明」しようとします。(以下略)
・彼らの願いは「なにも期待しないでくれ」「わたしに構わないでくれ」であり、もっといえば「わたしを見捨ててくれ」なのです。
「幸せになる勇気」より引用

 第4段階以降に突入した生徒には、教師個人の力はほぼ無力です。個人の努力でどうこうなる領域ではないということです。

おわりに

 今回は、問題行動を起こす生徒への対処方法についてまとめました。

 アドラー心理学に関する本「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」から引用して、問題行動を起こす生徒の心理について考察してみました。

 darakeは読んでみて、今まで無意識にやっていたことが言語化されていたので、自分の生徒指導に関する考えを整理することができました。

 生徒指導に悩んでいたり、苦手に感じている教師の方々は、ぜひ読んでみてください。

・ある行動が「よくないこと」だと知らない中学生には、根気強く教える。
・問題行動の第1・2段階は、相手を尊敬し、特別を望まない姿勢で対処する。
・問題行動の第3段階は、感情的にならず、権力争いから降りる勇気をもって対処する。
・第3段階で踏み留まらせることが教師の最大の使命。
・万が一第4・5段階に入った生徒がいた場合、第三者の介入、専門家への相談を早急に行う。

 

嫌われる勇気

嫌われる勇気

  • 作者:岸見一郎/古賀史健
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013年12月13日
幸せになる勇気

幸せになる勇気

  • 作者:岸見一郎/古賀史健
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2016年02月26日

 今回はここまで!

 みなさんが、幸せな人生を送れますように!

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