集団に適応できない生徒を担任した時の体験談|今のままではもう限界!

学級経営のコツ

 こんにちは、darakeです。

 2019年もよろしくお願いいたします。年末に紅白を見ていて、米津玄師さんの歌唱力(初見)とサザンオールスターズの圧巻のパフォーマンスに心躍りました。最新音楽に疎くなってきたので、2019年スタートは米津玄師さん大注目です。笑 ←流行に乗ってなくてすいません!

 今回と次回にわたり、一斉授業・活動に適応できない生徒たちの話をします。そして、対応に限界がある学校について考えていきましょう。

A君の状況

 当時、中学校に入学してきたA君を担任することになりました。A君は通常学級として入学してきました。

 ここでのポイントは、特別支援学級ではなく通常学級の一員として入学してきていることです。小学校時代も同様です。そして、グレーゾーン(発達障害の特性があるが診断基準は満たさない状態、または検査を受けていない状態)の生徒です。

 A君は検査を受けていませんでしたが、おそらく軽度のアスペルガー症候群だという小学校からの情報でした。検査を受けていない理由は、保護者が希望しなかったからです。

 アスペルガー症候群とは、知的障害を伴わず、言葉の発達に遅れがない自閉症のことで、言葉やジェスチャーを使ってコミュニケーションをはかったり、想像力を働かせて相手の気持ちを察したりすることが難しい発達障害のひとつです。相手の感情や雰囲気を察することが難しく、社会的ルールや暗黙の了解が分からないといった特徴があり、人や社会とのコミュニケーションに支障をきたしやすいと言われています。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 小学校時代は、対生徒、対大人とのコミュニケーションに支障をきたしていました。授業中は静かにしていることができず、何度も注意を受けていたそうです。高学年の時には、担任に反抗的な態度も取っていたそうです。集団行動がとにかく苦手で、小学校からもらった集合写真には1度も写っていませんでした。事情を聞くと、常にどこかに隠れていたそうです。

 A君の保護者は、本人の特徴は理解しているものの、特別支援学級に配属させる気はなく、現状維持のままでいいという考えでした。協力的でもありませんが、クレームを言ってくるような家庭でもありませんでした。

中学校生活の様子と対応

 入学してからのA君の様子です。

①返事、挨拶ができない。
②授業の50分は集中できない。
③写真は嫌々ながらも写る。
④自分の感情を表現することが苦手。
⑤周りと同じ行動をすることを極度に嫌う。

 これらのA君の行動に対して、darakeと学年はどう対応したかというと、通常学級にいる以上、一定の決まりの中での生活を求めました。賛否両論あると思いますが、通常学級で、30人以上預かる担任としては、30人の中の1人としてしか対応できない現状があります。個別支援ができるような人員は存在しません。

 保護者、本人が特別支援学級での生活を望んでいないのであれば、通常学級の決まりの中で生活してもらうしかないのです。他の生徒に迷惑をかければ指導するし、集団の一員としての行動ができなければ指導しました。

 個別の対応としては、

 ①【返事、挨拶ができない】については、入学式の呼名では、聞こえるような返事はできませんでした。3年間、毎朝呼名を繰り返すことによって、少しずつ聞こえるような声で返事ができるようになりました。卒業式の呼名では、体育館全体に聞こえる声ではありませんでしたが、担任には聞こえる声量で返事をしていました。挨拶については、成長が見られませんでした。教師や外部の人に対しては無言ですれ違うことしかできませんでした。

 ②【授業の50分は集中できない】については、教科担任と連携して、私語が多くて授業の邪魔をする場合のみ指導することにしました。寝ていたり、学習意欲がなくても指導はしませんでした。これについては、通常学級にいることで、個の成長<集団を選択せざるを得ませんでした。ただ、ある50代の教師が1度だけ寝ている時に指導した時は、驚いたらしくその後は素直に学習していました。

 ③【写真は嫌々ながも写る】については、小学校の時に比べると大きな変化だと思います。まぁ、別に写真に写らなくても問題は全くないんですけどね。強引なノリで、darakeの横に座らせてみました。最初は嫌々だったものが、卒業する時には、端の方で自分から写るようになってましたね。

 ④【自分の感情を表現することが苦手】については、大人に対して、自分の思いを伝えることが苦手でしたが、仲の良い友人とは楽しそうに会話していました。darakeが意識したことは、ダメなものはダメというけど、基本はフレンドリーに接していました。『〇〇はダメ』『〇〇しなさい』と口うるさい指導はしません。3年間担任だったこともあり、卒業時には会話が成立するぐらいの表現はできていました。

 ⑤【周りと同じ行動をすることを極度に嫌う】については、体育時の整列、行事等で同じ行動をすることに嫌悪感を示していました。みんなと盛り上がることは好んでいませんでした。1年生の時は徹底してやらせました。しかし、本人が望んでいないことがハッキリしたので、その後は本人に任せました。体育祭の練習や合唱の練習中に、別の場所で座っていることが多くありました。

 

 幸いなことに、周りはA君のことを小学校から知っているので、明らかにおかしな行動をしてもA君を責めたり、『Aだけズルイ』という流れにはなりませんでした。担任をしていて怖いのは、『みんなやっているのに、何でアイツだけ許されるの?』という雰囲気になることです。通常学級では、生徒も保護者も周りと同じことができるのが当然という前提で話が進んでいくため、時として居場所がなくなる生徒がいるわけです。

通常学級の限界

 A君のような生徒はたくさんいます。特別支援学級で学んだ方が本人のためになるけど、通常学級に在籍する生徒です。現在、30人の学級であれば4~5人は存在すると思います。これらの生徒には3パターンあり、

①本人、保護者が望んで通常学級にいる場合
②本人が特別支援学級を望まないで通常学級にいる場合
③保護者が特別支援学級を望まないで通常学級にいる場合

 本人と保護者に納得してもらい、説得することはとても難しいです。この話についてはまた今度。

 このような状況で、通常学級には明らかに個別支援が必要な生徒が複数存在してます。発達障害を抱えていない生徒だってトラブルはたくさん発生します。この学級を担任1人で運営するには無理があるのです!

 『今まで出来ていただろ!』という考えは古すぎます。今までは個々の教師や学年が苦肉の策で何とかしていたんです。時代は変わり、全員が同じという考えではなく、それぞれが求める教育に対応していく必要があります。

 30人が1つの教室で、同じ進度で学習をすることにはもう限界がきています。現場ではずっと感じています。

 変えるには多くの問題があるのはわかっています。戦後から続いている一斉授業形式の方が人員は少なくて済みます。人件費も抑えられます。しかし、実際に公立の学校を変えようと、努力して実践している人たちもいます。見習わないといけません。藤原和博さんの著書はとても参考になります。公教育関係者は絶対に読んでみるべきです。

つなげる力―和田中の1000日 (文春文庫)

つなげる力―和田中の1000日 (文春文庫)

  • 作者:藤原 和博
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日: 2010-09-03

 すべてを自分の学校や地域で実践するのは難しいかもしれません。でも、1つでも実践することができて、学校に適応できない生徒、通常学級に適応できない生徒が救われるならば考え続ける価値はあるかなと思います。

改善案① タブレットの導入!
人員増やすよりはまだ可能性ありませんか?これが実現すると、動画を使った授業が可能になるので、聞き逃しても、つまづいても何度も戻ることが可能になります。動画なら教材扱いになるので、その学校の教師じゃなくても可能ということになりますね!まずは教師が全部教えるという価値観を変えましょう!
改善案② 大学生の積極的な関わり!
藤原さんの著書に書いてありますが、教師志望の大学生ともっと協力すべきだと思います。学校側は人員が足りない、教師志望の大学生は実習以外の実践経験を求めているので一石二鳥ではないでしょうか。あとは、大学側と学校側の交渉と歩み寄りで何とかなりそうでは?

まとめ

 A君は卒業後、地元の高校(工業学科)に入試点数上位で入学しました。中学校に入学した当初は手がかかったものの、2年、3年ではほとんど手がかからなくなりました。しかし、これは結果論であり、同じような発達障害を抱えていて、不登校になったりする生徒は数多くいます。darakeと学年の努力が実り、『結果、良かったね!』で終わっていてはダメなんですね。今後は、根本の問題を解決していかないと、一斉授業や集団生活に適応できない生徒は、学校に登校できなくなってしまいます。

 学校に行けなくなっても、他の道がたくさんあるならば問題ありません。ただ、日本にはそれがほぼないんです。特に地方に行くと私立すらも存在しません。1つの選択肢しかなく、それに適応できないと終了というのはあまりにも残念すぎます。

 現状維持ではなく、時代とニーズに合わせた改革が急務です!

 今回はここまで!
みなさんが、幸せな人生を送れますように!

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